今こそ、大迫が大黒柱に
例えば、2列目トリオと大迫の4枚が流動的に動いて敵をかく乱するとか、南野が1トップの位置に上がって大迫とポジションを入れ替えながらスペースを突くとか、細かい工夫をこれまで以上に見せなければならない。堂安と中島もボールを持てる強みが逆にカウンターの餌食になる恐れも否定できない。そのあたりを念頭に置いたプレーの変化をつけていくべきだ。
1トップの大迫自身も国際経験値が豊富な分、さらなるアイディアをピッチ上で示さなければいけない。W杯2回連続出場という実績は若返った新生ジャパンにとって貴重な財産だ。彼自身も2015年アジアカップは出場していないものの、ロシア大会のアジア最終予選で味わった苦しみを忘れてはいないだろう。「ドイツで屈強な選手を敵に回して体を張ったプレーをしているので問題ない」と前々から大迫は口癖のように語っているが、複数DFに囲まれて自由を奪われるような状況はブンデスリーガでは滅多にない。日頃とは異なる環境でチーム全体の攻撃をスムーズにして、自身もゴールという結果を残すことは至難の業だ。が、本田圭佑らこれまで代表をけん引してくれた攻撃陣が去った今、彼が大黒柱になるしかない。この男に課せられる責務はかつてないほど大きいのだ。
大分合宿に来てからまだメディアの前で口を開いていない大迫だが、彼なりに思いを巡らせているのは間違いない。ロシアW杯前も発言を最小限にして自分自身の感覚を研ぎ澄ませていた。その成果が初戦・コロンビア戦での決勝弾だった。半年前のいい記憶を呼び起こして、半端ない点取り屋が再ブレイクすることを、ぜひともベネズエラ戦では求めたいものだ。
(取材・文:元川悦子)
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