兼任監督の難しさ
――森保新監督の人柄や指導力が素晴らしいのは誰もが知るところですが、やはりA代表と五輪代表の監督を同時にこなすのは難しいですよね。
「A代表と五輪代表、両方の監督を同時にするのは本当に難しい。特に、次の五輪は東京開催で期待も大きいですからね。
もし、東京五輪のグループリーグで敗退したら、すごくショックな出来事。メディアやファンはネガティブになるだろうし、逆に金メダルを取ったら、『ワールドカップはどこまで行けるだろう』というプレッシャーも大きくなる。そもそも、スケジュールが大変です。
もちろん五輪代表で活躍した若い選手をA代表でも試しやすい環境にはあります。そこはポジティブな要素ですね。若い選手にとっては、監督もプレースタイルも同じだから、怖がらずにプレーできるはずです。よく『次の日本代表』と言いますが、代表チームはすぐには変わらない。1人ずつ、少しずつ変わっていくものだから。
日本代表の課題は、4年前のワールドカップも今回のロシア大会もそうでしたが、精神的な部分です。ベルギーに2点先行した後、もっと強くて経験のあるチームだったら、うまくゲームを終わらせられたはず。日本は攻撃にいくのか、引いて守るのか、よくわからなくなってしまった。もちろん監督からの指示もありますが、監督はピッチに立てないから、選手が自分たちで決められるように成長するしかない。
繰り返しになりますが、森保さんが監督になったことは今後の日本サッカーを見る上で、本当に楽しみです」
(文:三谷悠)
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