ベネズエラ戦で1年前の雪辱を果たせるか
堂安には当時「ベスト4まで行ける」という自信があった。それをベネズエラに打ち砕かれた。あの激闘で目の前にいた選手たちと再び戦うことができることに、やりがいを感じないはずがない。
韓国・デジョンのスタジアムで、ベネズエラに敗れた後「こんなあっけなく終わるんだ…」という言葉とともに、未来への決意を新たにした堂安の言葉が印象に残っている。
「やっぱり最後の質を上げないといけない。今日はフリーキックもあったし、崩してシュートを打った場面もあった。あそこで決め切る選手が『やっぱり、あいつは決める』と思われる選手。この前の試合でできたからではなく、続けていくことに意味があると思う」
U-20ワールドカップが終わった後、堂安はガンバ大阪からフローニンゲンへ移籍した。それから何もかもが初めて、異なる文化、サッカーも違う、さらに言葉も通じない環境で努力を重ね、ポジションを勝ち取り、期限付き移籍から完全移籍へと契約形態も変わった。
ゴールも決め続けた。フローニンゲンでの1年目はリーグ戦で9ゴール4アシスト。とにかく「最後の質」にこだわり、結果を残してきた。ファン・サポーターが選ぶ年間MVPも獲得し、信頼を揺るぎないものにした。『フランス・フットボール』誌が今年から新設した「若手版バロン・ドール」とも言われる「コパ・トロフィー」の候補者10人の中に、フランス代表としてロシアワールドカップを制したキリアン・エムバペらとともに名を連ねるまでになった。
今や堂安のポテンシャルの大きさは、欧州でも認められている。それでもより高いステージに立つことを目指す堂安の向上心は尽きることがない。結果への底知れぬ貪欲さも一切ブレない。あの悔しすぎる敗戦からの1年、彼の成長は一気に加速し、勢いはとどまるところを知らない。
「この2試合、どうやったら自分が貢献できるかって考えたら、絶対ゴールとアシストが必要になってくる。それができなければ自分が(日本代表に)来る必要もないと思うし、それができるからこそ呼ばれていると思う。それを考えながらプレーしていきたい」
まずはベネズエラ戦。堂安はそこでU-20ワールドカップで対戦した相手選手たちに「俺も成長しているんだ」というところを見せつける。
(取材・文:舩木渉)
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