日本代表入りがもたらした好循環
「堂安っていう選手、最近すごいよね」
「堂安は見ていて楽しいよね」
ここ数ヶ月、そんな声が自分の周りのそれほどサッカーに関心の強くない人たちからも聞こえてくる。もちろん名前の物珍しさや覚えやすさもあるだろうが、日本代表に選ばれて、目立った活躍を披露しているからこその現象に間違いないだろう。
1年前にどれほどの人が「堂安律」の名前を知っていただろうか。Jリーグを日頃から追いかけるファン・サポーターには有望株として認識されていたものの、おそらく世間では無名の選手の1人だったはず。この数ヶ月の堂安は、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
9月に森保一監督から初めて日本代表に招集されると、中島翔哉や南野拓実とともに躍動感あふれるハイパフォーマンスを披露。10月のウルグアイ戦では待望のA代表初ゴールも挙げた。右サイドを起点に果敢なドリブルと強烈なシュートを放つ堂安は、早くも日本代表に欠かせない存在となりつつある。
所属するフローニンゲンと日本代表での活躍ぶりは、欧州列強国にも確実に届いている。今や連日ビッグクラブからの関心が報じられるようになり、20歳の才能にはマンチェスター・シティやユベントス、アトレティコ・マドリーなど名だたる強豪が獲得に興味を示しているという。ボルシア・ドルトムントに至っては、すでに3度にわたってフローニンゲンの試合にスカウトを派遣したことが伝えられた。
堂安が傑出している理由の1つには、プレーの安定性も挙げられる。日本代表に招集されると、毎月のようにヨーロッパと日本の間を移動せねばならず、その往復は体に少なからず負担となる。経験の少ない選手であれば、過酷な長距離移動の影響が調子を落とす要因の1つになってしまうこともあるが、堂安の場合はそれがほぼない。
むしろ日本代表に入ったことで、さらに成長スピードを上げて、目に見えてパフォーマンスの質が上がっている。本人も「まずは代表での自信もつきましたし、改めて日本代表の影響力ってすごいなっていうのを感じさせられているので、そのおかげでチームに帰った時も余裕っていうか、自分がチームでやらなくちゃいけないことがハッキリしている。そのへんは日本代表に選ばれたことにすごく感謝したいなと思います」と、日の丸を背負って戦ったことの効果を実感している。
日本代表での活躍が刺激となり、フローニンゲンでのプレーに反映される。堂安は間違いなく好循環に入り、加速度的に成長している。10月のパナマ戦とウルグアイ戦の後のクラブでの活躍ぶりからも、それは明らかだ。