「ついにここまで来た」
練習を終えて取材に応じた山中は、世代別代表でともに戦った懐かしい仲間たちがいることもあって「話すことも多いので、かなり溶け込みやすいですね。本当に優しい人が多いと聞いていたので、とりあえずそんなに怖い人がいなくてよかった」とホッとした表情だった。
やはりA代表初合流にあたって「だいぶ緊張していた」という。だが、改めて日本のトップで戦う選手たちの輪の中に入ることで、「ついにここまで来たなという感じ」と自らの成長を実感したようだった。
2年前のリオデジャネイロ五輪では、本大会メンバーに落選するという無念を味わった。予選までは当時のU-23日本代表の左サイドバックでポジション争いの先頭に立っていたが、2016シーズンのJリーグ序盤戦で相次ぐ負傷に見舞われると、その間に好調ぶりをアピールした亀川諒史に取って代わられ、最終的に一生に一度になるかもしれなかった五輪出場を逃してしまった。
「オリンピックはすごく悔しい思いをした」と振り返る山中は、「またこのユニフォームを着られるということにすごくワクワクしています」と気持ちを高ぶらせている。「(ワールドカップには)緊張感だとか、国を背負う覚悟みたいな、とてつもないものがあると思う。(ロシア組の選手とも)食事の会場とかでも一緒になることが多いですし、そういったときに聞いてみようかな」とワールドカップを戦った先輩たちにも積極的に教えを請うつもりだ。
もちろんプレーでも積極的に自らの存在価値をアピールしていく。今回のベネズエラ戦、キルギス戦の2連戦は来年1月のアジアカップに向けた最後のテストマッチの機会。選手たちにとっては最後のアピールの機会となる。
特に左サイドバックはロシアワールドカップでも主力を担い、森保ジャパンでも活躍が期待されたベテランの長友佑都が気胸の手術を受けた影響で長期離脱中。アジアカップ参戦が困難な情勢となっており、9月と10月に続いて招集されている佐々木や、今回初招集の山中、負傷明けでメンバーには入らなかった川崎フロンターレの車屋紳太郎といった選手たちには、定位置獲得のビッグチャンスが巡ってきたことになる。