勝ち点1獲得に貢献した20歳
スコアレスドローを告げる笛が鳴ると、大南拓磨はソックスを下ろしながら、しばらくピッチを見つめていた。多くの時間を守備に費やすなか、最終ラインの一角に入った彼は最後までタフに戦った。特大の可能性を秘めた若者が、その才能を開花させようとしている。
明治安田生命J1リーグ第32節が10日に行われ、ジュビロ磐田はアウェイでFC東京と対戦した。前節の勝利で、磐田は勝ち点を『40』に乗せていた。例年であれば間違いなく残留が決まる数字だが、生き残りが確定したわけではない。気の抜けない戦いは続くが、終盤に来てポイントを上乗せできるようになっているのは救いだ。FC東京を相手に稼いだ『1』の価値も小さくない。チームはこれで直近3試合を2勝1分けとしている。
勝ち点1獲得の立役者は、守護神のカミンスキーだろう。77分にリンスの強烈なミドルシュートを止めると、87分にはCKからフリーになった森重真人の前に立ちはだかった。こぼれ球に反応したチャン・ヒョンスに狙われたが、ここもポーランド人GKが身を呈してブロック。名波浩監督に「一人で勝ち点10を持っている」と言わしめる男の本領発揮だった。
そして、2試合連続でフル出場した大南も充実の戦いぶりだった。現在20歳。東京五輪世代のセンターバックは、実力者が揃う相手を向こうに回しても全く怯まなかった。試合後、表情には笑みが浮かんでいた。
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