フロンターレは「常勝軍団」なれるのか
中村は「続けること」の重要性を実感している。在籍16年目、常にクラブの先頭に立って道を作ってきた大ベテラン。昨季の初優勝では泣き崩れたが、今回は笑顔が弾けた。連覇した経験をピッチ上で後輩たちに伝えるための時間は、それほど多く残されていないかもしれないが、彼が15年以上かけて歩んだ「道」はフロンターレがこれからも使い続けていくだろう。
連覇したことで、フロンターレというクラブがピッチ内外で取り組んできたことが全て肯定されたと言ってもいいはずだ。明確なスタイルを打ち出し、こだわり、それに合致する選手を獲得して強化していくピッチ内。さらにはファン・サポーターをサッカー以外でも楽しませるピッチ外の創意工夫。そして常にポジティブなスタンドからの温かい声援。それらが全て優勝を後押しした。
鹿島はフロンターレがJ1連覇を成し遂げたのと同じ日、イランで初のAFCチャンピオンズリーグ優勝を果たし、クラブとして20個目のタイトルを獲得した。彼らも1996年のJリーグ初優勝からいくつものタイトルを積み重ねることで「常勝軍団」と言われるようになった。
Jリーグ発足当時から存在する「オリジナル10」ではないクラブとしてフロンターレが初の連覇を達成したことも、「ものすごく価値がある」と中村は語る。後に続くクラブにとって、そうした新しい「道」もできた。だが、負けるわけにはいかない。フロンターレは今年の優勝をステップに、次は3連覇やアジア制覇を目指して「常勝」への道をさらに速度を上げながら歩んでいく。
(取材・文:舩木渉)
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