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Jリーグ 6年前

川崎Fが連覇で作り上げた常勝への「道」。別次元の強さ、終わりなき「やるべきこと」の追求

text by 舩木渉 photo by Getty Images

「やるべきことをやれば違う次元に行ける」(中村)

 とはいえ、フロンターレの強さは「勝つためにやるべきこと」が常に明確なことだった。勝っても、負けても、今季は特に多くの選手から「自分たちのやるべきことはわかっているから、それを突き詰めていくだけ」といった意味の言葉を頻繁に聞いた。

「昨年ある程度自分たちのやるべきことが見えたので、(今季は)その質の追求、ただそれだけだったと思います。それをやれば相手が分析、対策してきても、やっぱりある程度勝ち点を取れる試合が増えた。

何かを新しく変えたわけでもないですし、自分たちの1人ひとりの質を上げることで、グループもそうですし、チームとしても質を上げていくという、その作業に日々の麻生グラウンドでの練習でみんなが真摯に取り組んだ結果、誰が出てもある程度結果を残せるチームになってきました。だから本当に、相手に何もさせないで、自分たちがボールをひたすら持って攻めるという、自分たちがやるべきことをやれば違う次元に行けるサッカーになると僕らは思っています」

 この中村の言葉が、今季を象徴している。昨季の経験から優勝するためにどれほど努力しなければならないのかが感覚としてクラブに残り、それを基にした日常を積み重ねることができた。「グラウンドは嘘をつかない」のである。

 2年前に最終節でガンバ大阪に2点リードをひっくり返される大逆転負けを喫して年間勝ち点1位と2ndステージ優勝を逃した苦い思い出も、鹿島との最大勝ち点差7ポイントを最終節で逆転して初優勝した昨季の歓喜も、広島との最大勝ち点差13ポイントを跳ね除けた今季の連覇も、フロンターレの歴史として残り続ける。

 作家ロバート・ムーアはアメリカでベストセラーとなった自著『トレイルズ 「道」と歩くことの哲学(原題:On Trails: An Exploration、エイアンドエフ刊)』の中で、「森や都市の公園で標識のない道を見つけたとき、誰がつくったのだろうと疑問に思ったことがある。それはたいてい、誰かひとりがつくったわけではない。道は誰かがつくるのではなく、そこに現れる。まずは誰かが試しにそこを通ってみる。そしてつぎの人がそれに続く。つぎつぎにそこを誰かが通るたびに、少しずつルートが改善されていく」と、「道」の成り立ちについて論じている。

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