イングランドでは少しガッカリされているルーニー
――日本とイングランドでは、スター選手の扱いにも違いがあるようです。イングランドでは、「選手はピッチ上のパフォーマンスがすべて」という明確な線引き、価値観があり、ショーンさんは“スターはいつまでもスターで居続けられる日本”に違和感を覚えていますね。
「イングランドはピッチの中がすべてで、スターになればなるほど、メディアもサポーターも見る目が厳しくなります。パフォーマンスがよければ何も言われないけど、パフォーマンスが落ちたら、監督もメディアもサポーターもすごくシビアに見ます。
日本は一度スターになると引退するまでセーフ。プレーが悪くても、サポーターは最後まで応援する。それは良いところでもあるけど、サッカーという意味では良くない。たとえば、FC東京の永井(謙佑)は大学時代からすごく期待された選手です。ロンドン五輪でもゴールを決めたし、現在チームのレギュラーですが、私としてはもっと期待している分、十分に成長したとは思っていません。
すべての選手に成長のリミットはあるから、仕方のないことかもしれない。でも、彼くらいのポテンシャルがあるなら、イングランドでは『もっとやらないといけない』っていうプレッシャーを周りがかけます。
たとえばウェイン・ルーニーは16歳のときにエバートンでデビューして、マンチェスター・ユナイテッドでもイングランド代表でもトップスコアラーになりましたが、正直、イングランドでは少しガッカリされている選手なんです。いい選手なのは間違いありません。しかし16歳のときのポテンシャルがあれば、リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドくらいの選手になれたはずなのに、彼はタバコを吸ったり、オフシーズンに体重を増やし過ぎたり、サッカーに対して真面目ではありませんでした。
だからエバートンに戻ったときも、マンチェスター・ユナイテッドのサポーターは感謝したけど、移籍する前の2~3シーズンのパフォーマンスが良くなかったから、それほど気に留めなかった。イングランドではピッチの中がすべてですから」