経験のない選手には破格の1200万円
それはさておき、10月12日の練習試合での2得点の活躍後、CCMのクラブ内では、「たとえ戦力にならなくても、選手として帯同させれば…」「シーズンが進んで優勝の可能性がなくなってから試合に出したら…」などなど、彼を獲得したとしての金銭的、商業的メリットを測る皮算用、もといしミューレションが行われたことは想像に難くない。そうやって導き出されたCCMの現実的な回答が、Aリーグレベルでは決して悪くない推定15万ドル(約1200万円)という正式契約のオファーだった。
この報道を聞いて、「え、安い」とリアクションをする人が結構多かったのは少し驚いた。確かに、オーストラリアの事情を知らず、高騰するプロスポーツの世界的金銭感覚からすると安いと思うのかもしれない。
ただ、約300万ドル(約2億4000万円)のサラリーキャップ制があり、トップ登録でもマーキー・プレイヤーでなければ決して高い水準に無いAリーグの年棒レベルからすれば悪くない金額だ。Aリーグと同等のレベルでの経験が全くない選手にしてみれば「破格」のオファーなのだ。
ボルトが、そのオファーを蹴り、実際の要求額がマーキー・プレイヤーの本田クラスと同等以上の約300万ドル(約2億4,000万円)だったことが報道されると、ただでなくとも引いたスタンスだったコアなファンはその要求額を鼻で嗤うしかなかった。
おそらく、CCMの選手も同じ気持ちだったろう。それでも、即破談とはならず、CCMは豪州サッカー連盟(FFA)とも連携して、その開きを埋められるスポンサーを探したが、それも不調に終わった。結果、両社は袂を分かつことになった。
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