インテルを救った守護神
土壇場での同点弾を決めたイカルディは、そこで喜びを爆発させることなく、ボールを持って自陣に戻り、「もう一点」という気持ちをみせていた。結果的に引き分けのまま試合は終了したが、勝利への強い執念はインテルのイレブン達からひしひしと伝わってきた。だからこそスパレッティ監督は「勇気があった」とコメントしたのだろう。
一方のバルセロナは、あらゆる面において圧倒しながら勝利を逃した。決勝トーナメント進出は決めたが、この試合に引き分けたことにより、首位通過を決めることはできなかったのである。
なぜバルセロナは勝つことができなかったのか。その理由には間違いなくこの男の存在がある。インテルの守護神、サミル・ハンダノヴィッチだ。
冒頭にも記したように、バルセロナはこの試合で計26本ものシュートを放った。そのうち、枠内に飛んだのは8本。1本はマルコムのゴールに繋がっているが、その他の7本はすべてハンダノヴィッチがセーブしているのだ。
7本という数字は、一見すると少ないようにも思えるが、そのほとんどがゴールとなってもおかしくはない、非常にセーブするのが難しいシュートだった。スロベニア人守護神がいなければ、インテルは間違いなく2、3失点は喫していただろう。データサイト『Who Scored』によるレーティングでも、全体の2番目に良い数字となる「8.3」が与えられている。
もちろん、試合終盤にゴールを挙げたイカルディも救世主だ。だが、それまでに複数失点を許さなかったハンダノヴィッチも間違いなくチームを救い出した。この日に限っては2人を「神」と言うべきだろうか。
エースと守護神の活躍で勝ち点1をもぎ取ったインテル。7季ぶりのCLで、決勝トーナメント進出の切符を掴めるか。
(文:小澤祐作)
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