“盾”の裏から飛び出す“猟犬”に屈す
ワンダ・メトロポリターノは甘くなかった。
11月6日に行われたチャンピオンスリーグ(CL)のグループA第4節。ボルシア・ドルトムントは敵地に乗り込んでアトレティコ・マドリーと戦った。10月24日にホームで行われた試合は4-0で勝利し、粉砕したはずの欧州最強の盾は、見違えるように本来の堅さを取り戻していた。
ドルトムントのルシアン・ファブレ監督は「アトレティコは守備面で、とても、とても良かった。ボールを奪った後は危険だったね。我々はボールを失い過ぎたし、彼らはとても速くカウンターを仕掛けてきた」と試合を振り返っている。
さすがに4失点はプライドが許さなかったか。リベンジに燃えていたアトレティコ。まさに闘将ディエゴ・シメオネの魂が乗り移った[4-4-2]を前に、“ロイス・システム”は沈黙。好調時のドルトムントはセカンドトップのマルコ・ロイスが中盤を広く動き回り、ボールに触ることでテンポを上げていくが、引き締まったアトレティコの守備ブロックの中で、主将にスペースは与えられなかった。
ファブレ監督は「彼らはブロックの間がとても狭く、とてもコンパクトだった」と振り返っている。売り出し中のイングランド代表MFジェイドン・サンチョも、切れ味鋭いドリブルで、いつものように仕事をさせてもらえなかった。
序盤はがっぷり四つに組んだ両チームだったが、高密度の守備ブロックを前に、ドルトムントはシュートまで持っていくことができない。そして33分に鋭いサイドアタックを許して、サウール・ニゲスに得点を奪われると、前半の終わりにかけて、立て続けに攻め込まれてしまう。まるで飢えた猟犬の群れを前にたじろぐドルトムント。65分に決定機を迎えるが、パコ・アルカセルの右からのクロスを、ラファエウ・ゲレイロはヘディングで合わせ切れず、ゴールの上に外してしまう。