W杯を諦めた右足首の手術
たった1人の選手が復帰を果たしただけで、こんなにもチーム全体が変貌を遂げるものなのか。今野泰幸がボランチに戻ってきた、9月1日の川崎フロンターレ戦から幕を開けたガンバ大阪の連勝が、国内3大タイトルを独占した2014シーズン以来、4年ぶりとなる「7」にまで伸びた。
クラブのレジェンド、宮本恒靖氏の監督就任後もなかなか成績が上向かず、8月中旬には最下位に転落したガンバも、躍動する今野にけん引されるようにV字回復。順位を9位にまで浮上させ、ホームに湘南ベルマーレを迎える10日の次節で、J1残留を決められる状況を手繰り寄せた。
「攻守でバランスを取ることと、守備面では要所、要所で何とかボールを奪ってカウンターにつなげられている。それが自分の持ち味でもあると思うので」
何をガンバにもたらしたのか、と問われた今野は「そんなに多くはないけど」と断りを入れたうえで、ちょっぴり照れながら「バランス」と「ボール奪取」を挙げた。7連勝中に6試合で先発フル出場を果たした。文字通りの救世主となった35歳のベテランは5月に、長期離脱を覚悟のうえで決断を下していた。
開幕直前に右足首を痛めた。だましだましプレーしてきたが、なかなか試合に絡むことができない。3試合続けて45分間だけの出場に終わった5月12日の横浜F・マリノス戦を最後に、ベンチ入りメンバーからも今野の名前が消えた。右足首の手術を受けたのは、10日後の5月22日だった。
折しもロシアワールドカップの開幕が目前に迫っていた。電撃的に解任されたヴァイッド・ハリルホジッチ監督の後任に就いた西野朗監督は、国際サッカー連盟(FIFA)へ提出した35人の予備登録メンバーのなかに、今野を加えていたことをあえて明かした。
「手術を受けなければいけないという状況で、この期間での復帰は望めないということでリスト外になりました。本当に経験値と実績があり、欠かせないと評価していましたので、私としては何としてもリストに入れたいと思いましたけれども、やむなくリスト外としました」