チャン・ヒョンス、韓国代表から追放に
韓国代表からの永久追放。それはあまりにも衝撃的なニュースだった。FC東京に所属するDFチャン・ヒョンスは、自らの過ちによって今後一切韓国代表選手としてプレーすることができない。
原因はチャン・ヒョンスが関係当局に提出した書類にあった。同選手は2014年に韓国代表として参加したアジア競技大会で金メダルを獲得し、韓国の18歳から28歳の男性に義務づけられた兵役の免除という特例措置を受けている。
その代わりに兵役免除を受けたスポーツ選手などは、青少年などを対象に544時間の社会奉仕活動を行わなければならない。今回、チャン・ヒョンスが提出した196時間分の社会奉仕活動に関する報告書に虚偽の申告があった。
昨年12月から約2ヶ月間にわたり母校の学生を対象にサッカーを指導したという内容の報告書の中に証拠として添付された写真が、実は別の日のものだったこと。さらに実際の活動時間が申告していたものを下回っていたことが明らかになったのである。
問題となったのは2017年12月18日のものとして提出された写真。韓国『SBS』などが報じたところによれば、その写真では晴天の中でチャン・ヒョンスが学生に囲まれている様子が写されていたが、実際の同じ日は大雪が降り、グラウンドは積雪で真っ白になっていたという。
この疑惑が明るみに出ると、チャン・ヒョンスはすぐに11月の韓国代表招集を辞退すると大韓サッカー協会(KFA)に申し出た。そして、事態を重く見た同協会は懲戒委員会を開き、今月1日にチャン・ヒョンスの代表資格永久停止処分と3000万ウォン(約300万円)という厳罰処分を下した。
韓国代表からの事実上の永久追放は、考えられうる中で最も厳しい処分。チャン・ヒョンスはA代表通算58試合に出場し、副キャプテンを任されるほど人望が厚く、欧州組不在だった昨年12月のEAFF E-1サッカー選手権では腕章を巻いて優勝に貢献した。今夏のロシアワールドカップでもグループリーグ全3試合に先発出場した韓国代表の守備の要である。
とはいえ韓国において「兵役逃れ」のような振る舞いは、誰であっても苛烈な批判の対象となる。全員に同じように課される義務から逃げ出そうとしていることになるからだ。例えば金メダルを獲得すれば兵役免除の特例を受けられる今年のアジア競技大会に参戦していたソン・フンミンも、大会中にありとあらゆる方法で兵役免除について問われようが、一度も「兵役」という言葉を口にせず、ただ「勝つことが重要。優勝したい」と繰り返すのみだった。