先進性はない。それでも…
たしかにファブレ監督の[4-4-2]に、目立った先進性はないかもしれない。例えば、攻撃時に右サイドバックのアクラフ・ハキミは、ヴィツェルやディレイニーと共に中盤を構成してビルドアップに参加するようなことはしない。サンチョがボールを奪えば、その外側をオーバーラップして攻撃に厚みを持たらすように、従来型のフィジカルを活かしたサイドバックとしてプレーする。
しかし勝つために、常に戦術が革新的である必要はない。香川が語るところでは、ファブレ監督は「締め方」を知っている。チームの行方を左右する機微の存在を知っているようだ。
7日にはアトレティコとのCLが控えているドルトムント。前回対戦時のように大勝できるとは限らない。ヴォルフスブルク戦の後で、主将のロイスは「僕はコンディションさえ良ければ必ずチームを助けられる」と語った。ワンダ・メトロポリターノでも、選手たちは、チームのために労を惜しまず、勝利のために走るだろう。
(取材・文:本田千尋【ドイツ】)
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