若い選手にも芽生えない慢心
走り勝った。11月3日に行われたブンデスリーガ第10節、アウェイでヴォルフスブルクと戦ったボルシア・ドルトムント。最後尾にマヌエル・アカンジが復帰し、中盤にアクセル・ヴィツェル、トーマス・ディレイニー、サイドにジェイドン・サンチョ、そしてトップに、パコ・アルカセルといった今季の主軸たちが再び先発に名を連ねた。
フィールドプレイヤー全員が攻守に連動する[4-4-2]。ルシアン・ファブレ監督が築き上げてきたチームは、誰もがハードワークを惜しまない。27分、左に移ったサンチョがふわりと上げたクロスを、ディレイニー、マルコ・ロイスと頭で繋いで先制する。
試合後にファブレ監督が「ヴォルフスブルクは良く組織されており、穴を見つけるのが難しかった」と振り返ったように、それ以降、得点を挙げることはできなかった。見せつけてきた爆発力は鳴りを潜め、翌週のチャンピオンズリーグ(CL)アトレティコ・マドリー戦も見据えてか、スペイン代表FWは77分に交代。だが、そんな追加点を奪えない状況が続いても、ドルトムントの選手たちは決して集中を切らさなかった。誰もが守備を疎かにしなかった。
中盤のヴィツェルとディレイニーはもちろんのこと、両サイドに陣取る20歳のヤコブ・ブルーン・ラーセンも18歳のサンチョも、攻から守への切り替えに淀みはない。連動したプレッシングはもちろん、ボールロスト時の守備も徹底されていた。10月27日に行われたヘルタ・ベルリン戦では、最後にPKを献上したダン=アクセル・ザガドゥも、安定したパフォーマンスを発揮した。
この19歳のセンターバックのことを、試合後にファブレ監督は「素晴らしい成長」と認めている。ふとした活躍で芽生えがちな慢心。「若い選手」たちの中に、少なくともピッチ上においては、カケラもない。