王者に対してあまりに無防備だった柏
「ここでレイソルを救えないと将来はない。それくらいの気持ちでやらないといけない。結果に繋がればいいではなくて、繋げなきゃいけない」
窮地に立たされて久しい柏レイソルだが、川崎フロンターレ戦を数日後に控えた選手たちの表情は決して暗くなかった。明治安田生命J1リーグの残留争いは、かつてないほどの大混戦となっており、自力で浮上することもまだまだ可能だ。希望を捨てるには、まだ早すぎる。前年のチャンピオンを叩ければ、状況は好転するはずだった。
しかし――現状を変えることはできず、そのきっかけすら掴めなかった。迷路の出口は見つからない。
J1第31節、レイソルはアウェイで川崎フロンターレと対戦している。優勝へ突き進むチームと残留争いでもがくチームの激突は、当然のように前者が勝利した。
レイソルはシステムを変えて臨んだが、チームとしての良さが消え、粗の方が目立った。勝ち点3を目指しながら最低でも1ポイントは持ち帰りたかったが、前半21分に先制点を献上。セットプレーではゾーンディフェンスを破られて2失点目を喫した。
終盤にかけて攻撃的な選手を次々と投入するも、相手ゴール前に到達できない。すると、手薄になった守備の隙を突かれて万事休す。準備してきたことを川崎Fに上回られたと言えばそれまでだが、レイソルもあまりに無防備だった。降格圏で苦しむチームは、どのように勝ち点3を奪おうとしていたのだろうか。
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