C・ロナウドが見せる勝利への飢え
その直後にカリアリは、オウンゴールで再リードを許してしまう。だが後半も彼らは粘った。DF陣は体を張ってユーベの猛攻をしのぎ、抜かれてシュートを打たれてもコースを切り続けた。そして攻撃では、諦めずにサイドを攻め続ける。途中からはマルコ・サウを投入して攻撃力を高め、ユーベの守備陣を切り崩しにかかる。
86分、左サイドを中心に前線での人数をかけ、細かくパスを回してユーベを振り回す。エリア内で対応が遅れた挙句、マークの薄くなったパボレッティがシュート。決定的なシーンだった。
だが、こういう状況を乗り切って勝利につなげる力がユーベにはある。パボレッティのシュートはベナティアがブロック、崩されても最後のところでゴールは決して許さない。そしてその直後に、狡猾に追加点。それを演出したのは、妥協なく勝利への飢えを見せるあのスター選手だった。
カリアリのCKを弾き、直後のカウンター。ゴール前の守備に参加していたC・ロナウドは即座に前線へとダッシュ。クリアボールはスルナに確保されるが、途中出場のファン・クアドラードがプレスを掛けてボールを奪う。そしてディバラがボールを確保した瞬間、前線のオープンスペースへさらなるダッシュを掛けた。パスを呼び込み、ボールをキープしたのち、後方から走りこんできたクアドラードに正確なラストパス。アシスト役としてゴールを演出した。
CKの守備に参加していたのに、試合終盤にして最前線でカウンターを演出。体力と勝利へのあくなき姿勢は改めて感服である。
昨季のユーベであれば、ひょっとしたら同点で終わっていた展開だったかもしれない。「今日は勝てて良かったが、守備には改善の必要がある」とマッシミリアーノ・アッレグリ監督も渋い表情だった。だがそれをねじ伏せて勝利をもぎ取れる強さが、今シーズンのユーベには加わっている。10勝1分、目下チャンピオンズリーグ(CL)も3戦全勝という成績は、間違いなくその反映といえるものだ。
(取材・文:神尾光臣【イタリア】)
【了】