アーセナルに立ちはだかったあの男
シュート数は12:13、支配率62%:38%、パス成功率85%:78%となっているなど、シュート数以外はアーセナルが上回った。試合を振り返っても、ホームチームの攻撃はスムーズで何より無駄がなかったようにも思える。相手の右サイドをうまく攻略できていたし、効果的な縦パスも何本か入っていた。事実、決定的なパスを12本もアーセナルは繰り出しているのだ(なお1位は4本のメスト・エジルとサラー)。
それだけ良い攻めを行えていたにも関わらず、追加点は生まれなかった。その背景には、この男の存在が大きいだろう。
それがファン・ダイクである。
高さ、強さ、安定感などCBに必要な能力を高いレベルで備えているオランダ代表DFはこの日、何度もピンチの芽を摘んだ。ムヒタリアンやエジル、もちろんラカゼットらPA内で力を発揮できる選手は、アーセナルに数多く揃っている。だが、ファン・ダイクはそれをすべて無力化したと言っていいだろう。
攻撃面でも、セットプレー時などでは大きな脅威となれるため、その存在感は光る。データに圧倒的な数字が残っているわけではないが、攻守両面の貢献度からしても、この試合のMVPはファン・ダイクといっても過言ではないだろう。
同選手がサウサンプトンからリバプールへ移籍した際の金額は7500万ポンド(約114億円)と言われている。当初この金額には「高すぎる」「そんな価値があるのか?」といった否定的な意見が飛んでいたが、今はどうだろうか。もはやその金額ですら安く思えるような活躍をみせていることは間違いないだろう。
リーグ戦11試合で5失点の堅守を支えるフィルジル・ファン・ダイク。リバプール悲願のリーグ優勝へ向け、今後もこの男の活躍は必要不可欠になる。
(文:小澤祐作)
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