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なぜ4-4-2は主流であり続けるのか? 名DFが解説する守備戦術の本質【岩政大樹の守備解体新書】

text by 岩政大樹 photo by Editorial Staff

妥当な考え方と言える4-4-2でのチーム作り

 そうなると、練習の中で日々その能力を高めていくことが必要となる。チームとしてのやり方云々にかかわらず、結局は「相手のプレスが早い」か「自分の判断が早いか」で勝負は決まるので、ピッチの中ではクリアな頭で「プレスか、判断か」の瞬間に立ち向かわなくてはならない。

 守備側としては、相手に判断させる時間とスペースを与えないことが求められるので、一瞬たりともプレスにいくタイミングを逃してはいけない。そのときにタイミングをはかる決め手となるのが、守備の原則や約束事だ。

 4-4-2のゾーンプレスは、この守備の原則や約束事がシンプルで、かつ、ポジションによって大きく変わるものがない。そもそもがピッチを均等にカバーして立っていることから、「ボールを中心に、全員で距離を保ちながら移動し、ボールに近い選手がプレスに行ったら横の選手がそのスペースを埋める」という基本的な約束事を全員が遂行していれば、それでほとんどのことが事足りてしまう。

 プレスに行く方向もゴールを背にしてそのままボールに対してアプローチをすればいいし、チーム全体でどこかに誘導したり、ポジションによって決まりごとが変わったりするといった複雑なものがほとんどないので、時間がない中でのチーム作りを考えたときに、4-4-2でひとまずチームを作るというのは妥当な考え方だろうと思う。

 これが、チーム作りにより時間をかけられるクラブチームとなるとまた話が変わる。実際、チャンピオンズリーグや各国のリーグ戦を見ると、ベーシックな4-4-2はむしろ少なくなる。

 これは、短期でチームを作るわけではないことで、より細かく守備の原則や約束事を設定する時間があること。そして、長丁場のシーズンを戦っていく上で「相手が慣れていないやり方」を作っておきたい考えが根底にあるように思う。

(文:岩政大樹)

【了】

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