サウジアラビアの強みと弱み
インドネシアで開催されているAFC U-19選手権も佳境を迎えている。現地1日にはU-19日本代表が決勝進出をかけた一戦に臨む。
準決勝の対戦相手はサウジアラビア。おそらく今大会で対戦した中でも、単純な実力だけで見れば最も難しい相手になるだろう。29日に行われた準々決勝ではオーストラリアを3-1で粉砕して力の差を見せつけていた。
サウジアラビアの武器は、何と言っても相手のミスを見逃さない抜け目なさにある。オーストラリア戦でも、組織的とは言い切れないものの、個々が相手ボールホルダーに激しいプレッシャーをかけてミスを誘い、ショートカウンターで何度も決定機を作り出した。
中盤で安易な横パスを掻っ攫われてしまえば、守備陣形が整う前にゴール前まで運ばれてしまう。サウジアラビアには身体能力の高い選手が揃っており、ビルドアップでのミスは失点の危機に直結してしまう。激しいプレッシャーにさらされても、正確にボールを動かし続けることが必要になる。安易なミスは命取りだ。
実際、サウジアラビアが今大会で奪った9つのゴールのうち、ほとんどは相手のミスを誘ってのカウンターからだった。実力的に上回る相手にボール支配率で上回る試合が多くても、得点パターンはほとんどが相手のミス絡み。裏を返せばテクニカルなポゼッションが不得手とも言える。逆に日本が前線からの積極的なプレッシングで混乱させれば、相手チーム全体にほころびが生まれるに違いない。
もう1つ、彼らの大きな弱点がある。それは2人目、3人目の動きについていくのが苦手だということだ。今大会で喫した3失点のうち、準々決勝のオーストラリア戦とグループリーグ最終戦のタジキスタン戦での失点は、ともに右サイドを破られてのクロスから生まれた。
共通しているのは、サウジアラビアの選手たちがサイドの揺さぶりに釘づけになるあまり、クロスに対して棒立ちになってしまい、最終的に2列目から飛び出してくる選手の動きが視野に入っていなかったことである。
こうしたサウジアラビアの弱点を突けるだけの力が、今の日本にはある。6万人に囲まれた完全アウェイの中で行われた準々決勝インドネシア戦の2点目、宮代大聖は久保建英にボールを預けて、そのまま動き直してフリーになってラストパスを受けた。
グループリーグ最終戦のイラク戦では、スルーを使ったコンビネーションから2つのゴールが生まれた。どの試合でも相手の弱点を徹底的に研究し、しっかりと攻略法を携えて試合に臨むことができている。