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日本代表 6年前

安部裕葵、U-19日本代表離脱の深層。ACL決勝参戦へ…成長願う影山監督の偽りなき本音

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

「19歳だからこそ今上に行って欲しい」(影山監督)

安部裕葵
安部裕葵は鹿島アントラーズの一員として挑むACL決勝から持ち帰る経験をさらなる成長に繋げられるか【写真:Getty Images】

 安部にとっても同じことが言える。日本でプレーしている以上、欧州のようにチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグのようなハイレベルな大会はないし、国際経験を積めるチャンスはより貴重になる。

 そういう意味でACL決勝は、人生で2度とないかもしれないビッグチャンス。「19歳だからこそ今上に行って欲しい」という影山監督の願い、さらに「日本サッカーとして高いステージで選手を戦わせてということ。ACL決勝は国内のリーグ戦やカップ戦とは違いますよね。(AFC U-19選手権と)どっちが選手をより大きくできるのか」という選手の将来を思う気持ちもあり、大会期間中の途中離脱をネガティブには捉えていないはずだ。

 安部はインドネシア戦との激闘を終え、「どんな試合にしてもどんな相手にしてもやっぱり経験は大事。こういう環境で経験ができたのも自分の経験値にしてしっかり吸収しようと思います」と話していた。6万人の大観衆の中でプレーすることも、それが全て対戦相手を応援している環境なことも、彼にとっては初めてだっただろう。

 ACL決勝の相手はイランの名門ペルセポリス。敵地で行われる2ndレグは首都テヘランのアザディ・スタジアムで行われる予定になっている。そこではインドネシアよりも敵意むき出しの8万人を超える大観衆(しかも女性の入場は認められていないため全員男性だ)に360度取り囲まれることになる。

 だが、安部には6万人を相手にした「経験」がある。この短期間に6万人、8万人という「完全アウェイ」を連続して体感できる、世界中を見渡しても同様の例はなかなか見当たらない。U-19日本代表のアジア制覇はチームメイトたちに託した。ならば快く送り出してくれた仲間や指揮官たちからの思いを力に変え、「自分のステージで輝く」ことで、ACL優勝から持ち帰る貴重すぎる「経験」を今後の成長に生かしていくしかない。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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