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Jリーグ 6年前

湘南・杉岡大暉は長友佑都を超えるか。無限の可能性を秘める「心技体」と日本が渇望する資質

text by 藤江直人 photo by Getty Images

同じミスは繰り返さない。若くとも強靭なメンタル

 メンタリティーの強さは、市立船橋のキャプテンとして臨んだ最後の大会、2016年度の全国高校サッカー選手権で確認できたという。高校ナンバーワンストライカー、岩崎悠人(現京都サンガ)を擁する京都橘との1回戦が行われた2016年の大晦日。曹監督はフクダ電子アリーナのスタンドにいた。

 夏のインターハイ前にベルマーレへの入団が決まっていた杉岡に対して、「プロとしてすぐにやれる」という新鮮な驚きを覚えたことも『育成主義』では記されている。

「試合を通して変にふらつくこともないし、岩崎を止めようと躍起になるばかりに、いつもと違うことをするような感じも伝わってこない。クレバーやスマートという言葉よりも、不格好なんだけれども結局、山から落ちて来ない選手と表現すればいいだろうか。市立船橋全体にそういう選手が多かったなかで、杉岡は特にメンタル的な強さをもっていることがよくわかった」

 厳しい指導で知られる曹監督だが、杉岡に対してカミナリを落としたのは現時点で一度だけ。昨年5月のFC町田ゼルビア戦の試合終了間際に、自陣の失点につながりかねないエリアでファウルを犯し、直接フリーキックを与えた場面に対してだった。

「あんなところで、あんな時間帯にファウルをするなんて、自分は二流のディフェンダーだと周囲に言っているようなものだ。この先、ディフェンダーで生きていきたいのならあり得ない。なぜああなったのか、自分で考えろ!」

 もっとも、同じようなミスがその後に繰り返されることはなかったという。プレーのなかにおける波の少なさに通じるメンタリティーの強さは、曹監督の愛弟子であり、浦和レッズを経ていま現在はシントトロイデンVV(ベルギー)でプレーする日本代表MF遠藤航をほうふつとさせるという。

 そして、高校時代のセンターバックからベルマーレ加入直後の3バックの左ストッパーを経て、左ウイングバックから左サイドバック、状況によっては中学時代までプレーしたボランチへとプレーの幅を広げた今では、メンタルの強さに対する信頼感はチーム内でも群を抜くレベルにある。

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