レアルの無残な姿
75分、右サイドのセルジ・ロベルトにパスが回ってくると、中央のスアレスに柔らかいクロスを上げる。これを同選手がヘディングでゴール右隅に流し込み、バルセロナが再びリードを広げた。
さらに82分、クレマン・ラングレからのロングボールをセルヒオ・ラモスが胸でコントロールしようとするが、ミス。これを見逃さなかったS・ロベルトが拾い、スアレスへパスを送る。GKティボー・クルトワと1対1になった同選手は軽くボールを浮かし、再びゴールへ流し込んだ。
その4分後、途中出場のウスマンヌ・デンベレが左サイドを突破し、クロスを上げると、こちらも途中出場のアルトゥーロ・ビダルが頭で合わせ5点目を奪取。レアルはカンプ・ノウで1-5という屈辱的な敗戦を喫したのである。
ロペテギ監督のシステム変更は後半始まってすぐの段階では成功だったはずだ。しかし、バルセロナとの一戦で慣れない3バックを試したのは、あまりに無謀だったのかもしれない。レアルは前半から圧倒され、システム変更も余儀なくされ、そして5点を叩き込まれた。90分間、バルセロナにボールも試合もすべて支配されたのである。
課題はやはり得点力不足だろう。この日も何度か得点のチャンスはあったが、奪ったのはわずか1点だ。特にベンゼマの決定力不足は未だ深刻化している状況であり、同試合でも記憶が正しければ2本の決定機を逃している。C・ロナウド退団の影響はないとレアルの選手たちは言うが、今の段階では影響があるとしか思えない。ロペテギ監督の立場もいよいよ危うい。
1-5というスコアは、レアルの選手やサポーターなどに計り知れないダメージを与えたはずだ。カンプ・ノウにあった白い巨人の姿は、無残そのものであった。
(文:小澤祐作)
【了】