「いわゆるボックス・トゥ・ボックス」
金子にとっても件のサガン戦が、プロになって初めての一戦であり、初めての先発でもあった。昨夏に練習参加したことがきっかけで、高いレベルでプレーしたいという思いが頭をもたげ、市立船橋高校時代のチームメイト、杉岡大暉にいろいろと聞いたうえで2年生に上がる直前での中退を決めた。
「強度の高さやアグレッシブさを含めて、ベルマーレの練習は本当にレベルが高い。特に意識するようになったのは、守備のときは素早く自陣のボックスへ戻り、攻撃になれば相手のボックスまで走ること、いわゆるボックス・トゥ・ボックスの動きですね。そういうことを意識して練習から積み上げていけば、必ず成長できるはずなので、謙虚にやり続けていきたい」
レイソルとの準決勝第2戦では、PKの5番手を託された。責任重大な役割にも「練習から決めていたから、あるかなと思っていた。5番手を任せてくれるというのは、責任をもてということ」とまったく動じなかった。実際、事も無げに成功させて、サドンデスに突入した6人目での決着へチームを勢いづけた。
マリノスとの決勝戦では、自身の武器だと自覚するボックス・トゥ・ボックスの動きを何度も披露。球際における攻防で強さを発揮し、効果的な攻め上がりを何度も見せた。
前回覇者のセレッソ大阪を下した準々決勝で連続ゴールをゲット。決勝を含めた5試合、合計480分間にフル出場した一方でリーグ戦では5試合、260分間の出場にとどまっている理由も理解している。同学年の齊藤が、ボランチのファーストチョイスになっているからだ。
「いまは(齊藤)未月が代表に呼ばれていて不在ですけど、チームにいるときには未月がスタメンを張っている、という事実は拭えない。負けちゃいけないと思っているし、だからこそいかにレベルアップしていけるか。お互いに刺激し合っていきたい」