「指導者やクラブのスタンスが試されている」
ベルマーレが規約第42条に抵触したのは、敵地ベストアメニティスタジアムで4月18日に行われた、サガン鳥栖とのルヴァンカップ・グループリーグ第4節だった。先発のベルマーレの顔ぶれはプロA契約選手が4人、外国籍選手が0人だったため、けん責(始末書)と制裁金600万円が科された。
前身のヤマザキナビスコカップから、ルヴァンカップは「若手の登竜門」を謳ってきた。昨シーズンからは21歳以下の選手を、最低でも1人先発させることも義務づけられた。ベルマーレはサガン戦で21歳以下の選手としてDF石原広教とMF金子大毅、湘南ベルマーレユース所属のMF柴田壮介を先発させた。
さらに、同じく21歳以下のGK真田幸太、MF齊藤未月、MF新井光もベンチ入りし、このなかで齊藤と新井が途中出場している。若手を積極的に起用し、育てていこうとする姿勢は評価できるとして、本来ならば1000万円の制裁金が減額されて600万円になっていた。
「試合が終わった後に、(ベストメンバー規定の件は)言われた。僕自身はA契約とかC契約と言われてもよくわからないというか、21歳以下の選手を出せばいいだろう、といった意識だった。監督として勉強不足だった点はあるし、ルールはルールで守らなければいけない、ということも理解している」
2試合合計で3-3のまま決着がつかず、アウェイゴール数でも並んだ柏レイソルとの準決勝。もつれ込んだPK戦を制し、クラブ史上初のルヴァンカップ決勝進出を決めた直後に、曹貴裁(チョウ・キジェ)監督にベストメンバー規定違反の件をあらためて聞いてみた。
規約を十分に理解していなかったと、指揮官は素直に認めた。そのうえで、週末のJ1リーグ戦へ向けてメンバーを落としたわけではないことを、若手選手の育成に対する持論を交えながら強調した。
「若いから試合に出しているのではなくて、若くて結果に対して責任をもてるから試合に出している。若いということは、イコール、ミスをする。ミスをしない若い選手ならば成長はしないし、ミスをするから代えていたら若い選手はいつまでたっても伸びない。偉そうな言い方になるけど、ミスをどのようにして許容するかという点で、指導者やクラブのスタンスが試されていると思っている」