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日本代表 6年前

U-19日本、山田康太が描いたゴールへの道筋。成長を体現、競争力高めW杯かけた大一番へ

text by 舩木渉 photo by Getty Images, Wataru Funaki

「数字」に残らないパスが意味するもの

 滝と原がゴールを奪えば、荻原は2アシスト。小林と大迫も手堅い守りで今大会初の無失点を実現させた。そして初先発組で唯一「数字」に直接関与していないながら、大きな貢献を果たしていたのが山田だった。

 初戦の北朝鮮戦の前日、山田は「しっかりした大会は個人的にも初めてですけど、チーム全員で誰が出てもいいサッカーができる自信はある」と意気込んでいたが、やはり今大会初出場となったグループリーグ第2戦のタイ戦の後半は中盤でのバランスを見出すのに時間を要した。

 しかし、初先発となったグループリーグ最終戦のイラク戦は攻守に出色の働きを見せた。ボランチでコンビを組んだ藤本寛也も「お互いにバランスを取れる選手で、そんなに気にすることはなかった」と語るほど、山田との連係はスムーズだった。

 そして先制点と2点目の起点となるパスは、まさにチームの狙いを体現したもの。「ボールを奪った後、相手のバランスがルーズになるというのは聞いていたので、奪った後はしっかり前にパスをつけようというのは意識していた」と要求通りのプレーで結果につなげた。

 序盤の10分、山田は右に流れる原の裏のスペースにゆるやかな浮き球のボールを送る。パスをコントロールした原は敵陣ペナルティエリア右角付近で時間を作り、寄ってきた久保建英にボールを渡す。最後はドリブルでペナルティエリア深くまで侵入した久保の折り返しを、逆サイドから走りこんだ滝がヒールキックでゴールに押し込んだ。

 この場面で山田は原にパスを通したあと、スプリントをかけてゴール前まで入り込み、ニアサイドで「タケ! タケ!」と久保にボールを要求している声がスタンドからも聞こえた。山田は「感覚的なもの」を共有するチームメイトを信じて走ったその局面を「タケが1点目、滝にアシストしたやつ、自分にくれってめっちゃ言っていたんですけど、あとで『ごめん』って」と振り返る。

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