重要なのはTOPにあらず
ショートパスを徹底してつなぎ、両サイドから攻めてくるFC岐阜に主導権を握られた後半に入って、選手交代とともに何度かフォーメーションを変えて対応した。それでも相手とのかみ合わせや戦術的な部分で、上手くいった部分とそうではない部分があった。
後半だけで3失点を喫したが、最後は個人が判断して防がなければいけない。その意味で確認しておきたいことが試合終了直後から僕のなかにあり、対象となる選手たちが偶然目の前にいた。
その場で伝えたほうがいいと思い、ナイター照明のカクテル光線に照らされながら、時間にして15分ほど、6人を体育座りさせた状況で、僕は中腰になってときには身振り手振りをまじえながら話し合った。
メディアの方々が遠巻きに、いったい何をしているのかという視線を投げかけてきたのが何となくわかった。それだけ異例と言ってもいい光景だった。
試合を終えたばかりの状況で話すべきではないという声も、もう少しTPOを考えてもいいのではという指摘も、僕の耳には届いていた。
もっともだと思いながらも、たとえばTPOを考慮した場合とそうではない場合で、投げかけた言葉が与える効果は具体的にどう違うのか、という点に触れられることは少ない。
問題が起こった直後に聞かされて理解する感覚と、後になって聞かされて理解する感覚はまったく異なるものだと思っている。ましてや起こった直後に言うことが本当に悪いかどうか、誰にもわからない。だからこそ、僕が思っていたことを意のままに6人に伝えた。
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