Aリーグ飛躍の起爆剤としての重責を背負う
ゆえに周囲の意識を高め、レベルを上げ、1シーズンで成果を上げなければならない。契約期間1年という本田に失敗は許されないのだ。本人も「目標は優勝」だと断言。
さらに「チームの歴代の勝ち点が『53』だというのが調べて分かった。(レギュラーシーズンの)27試合で全部勝てば『81』。チームの最高勝ち点は『53』なのでそれ以上を目指して、長いシーズンになるがやっていきたい」とANAでも高いハードルを越えるつもりでいることを明らかにした。
かつて日本代表でも「ワールドカップ優勝を本気で目指す」と公言し、2014年ブラジルワールドカップで惨敗した後「周りを煽ってきた自分の責任を強く感じている」と語ったことがあったが、号令をかけたことで日本代表メンバーのトップを目指す意欲は確かに上向いた。
ブラジルで結果がついてこなかったのは残念だが、その悔しさが4年後の今回のロシアでの16強入りにつながったのも事実だろう。メルボルンVのチームメートにも同じような意識改革を促せれば、本田圭佑が新天地に赴いた意味が出てくる。
Aリーグ飛躍の起爆剤としての重責を背負った男がどんな化学変化をもたらすのか。1年後の彼自身とメルボルンVがどうなっているのか。現地へ出向いて改めて強い興味が湧いた。さしあたって来年、ACLで日本に凱旋するであろう本田圭佑の変貌を楽しみに待ちたい。
(取材・文:元川悦子【メルボルン】)
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