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世界最高のMFモドリッチの知られざる幼少時代。爆弾が降り注ぐなかでも追い続けたボール

text by ビセンテ・アスピタルテ photo by Getty Images

慎み深い生活を送り続けた幼少時代のモドリッチ

ルカ・モドリッチ
幼き頃のモドリッチは、ただただフットボールに明け暮れた【写真:Getty Images】

 町がかつてあった日々を徐々に取り戻していく中で、モドリッチ一家は自分たちの息子にとって最も重大な決断を下すことを迫られていた。彼らはホテル・コロヴァーレを去り、ホテル・イジュへと移ったのだった。そこはさらに小さな宿泊施設で、現在は廃墟となっていて不法居住者やホームレスに占拠されている。

 イジュはコロヴァーレとは違い、沿岸から離れているために海目当ての旅行者が宿泊するホテルではなかった。が、ルカが初頭教育を受けていた学校から近く、何よりもNKザダールの練習場が歩いて数分のところにあった。それほど快適な施設ではなく、部屋も小さかったものの、家族の長男は節度ある幸せな生活を享受し続けている。

 授業が終われば、フットボールがルカの「モウダス・オペランディ」となった。NK、友達と、または一人だけでよくプレーに興じた。ルカ本人がよく思い出すことだが、両親が彼を見つけ出すのはじつに簡単だった。幼いルカは慎み深い生活を送り続けながら、ただただフットボールに明け暮れていたのだった。当時の彼を知る人物と話をすれば、共通の答えが返ってくる。

「今の子供たちは、テレビを見たりテレビゲームをしたりフェイスブックをしたりと、家に閉じこもっている。ルカの家族は総じて背が低かったが、彼は父親と同じく、とても強靭で、筋肉隆々の足を持っていた。それは偶然の産物なんてものじゃない。彼は毎日、路上で壁を相手にボールを蹴り、広場でもプレーしていた。ただ走るだけのときもあった」

(文:ビセンテ・アスピタルテ、ホセ・マヌエル・プエルタス/翻訳:江間慎一郎、再構成:編集部)

【了】

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『ルカ・モドリッチ 永遠に気高き魂』

発行:株式会社カンゼン
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スペインで発売され大きな話題となり、ロシアW杯のエピソードを大幅に加えた最新版が日本初上陸。
幼少期の生い立ちから現在まで知られざる成長秘話を丹念に描き出していく。

<目次>
1.ダルマチアの才能
2.戦争難民
3.榴弾の中での練習
4.大いなる失望
5.ボスニア・ヘルツェゴビナ、成熟の証明
6.最後のレンタル移籍
7.愚か者たちのリーグ
8.スター
9.バルカン半島のクライフから、なるルカ・モドリッチへ
10.並外れたポリバレント性
11.その器、ロンドンでも収まり切らず
12.今一度、勝つ
13.疑いと批判
14.物静かな男
15.マドリーの支配者
16.司法によるレジェンドの監視
17.栄光へと続く三つの延長戦―ワールドカップMVP

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