「U-20ワールドカップにこの3人で行きたい」(若原)
そうやってチームメイトをサポートすることの重要性は、自らがクラブで試合に出続けることで学んだことでもある。「僕は試合に出させていただいて、自分自身も結構手ごたえがあったんですけど、その中で逆に僕が出ている時に、清水さん(清水圭介)が出られなくて、そういったところでの清水さんの振る舞いをちゃんと見ていて、それが今、このチームで生かされている」と若原は言う。
「清水さんは一切暗い顔とかせずに、試合前のハイタッチの時でも明るく振舞ってくれて、自分自身がとてもプレーしやすい環境を作ってくれたので。練習の時も色々アドバイスしてくださったり、自分が聞いたら答えてくれるので、そういったいい雰囲気を清水さんが作ってくれているんです」
試合に出たら最高のパフォーマンスを発揮できるよう万全の準備を整えるのは当たり前。先発GKのアクシデントで突然出番がやってくるかもしれないし、調子を落とした選手がいれば、正守護神の交代の可能性だってある。試合に出ているGKをサポートすることも、練習で毎日全力を尽くすことも、必ずその先にあるピッチの上でのパフォーマンスに繋がってくる。U-19日本代表のGKチームは、それを理解したうえで互いを高め合っている。
日本はグループリーグ首位突破を決め、25日のイラク戦を終えた後、準々決勝のインドネシア戦に勝利すれば来年のU-20ワールドカップ出場権を獲得できる。そこが今大会最大の山場であり、最も重要な試合になり、世界への切符を勝ち取ればアジア制覇への道も大きく開かれる。ただ、谷、大迫、若原のうち誰がその大一番のピッチに立つかは、まだ決まっていない。
「誰が出ても優勝できたら、GKチームにとって全員が嬉しいと思います。今はまだ無失点がないので、ここからずっと無失点を続けていけたらGK陣にとっても自信になると思う。そしてU-20ワールドカップ出場を決めて、ワールドカップにこの3人で行きたい。3人、そしてノリさん含めて4人でこの大会の優勝を達成できたらいいなと思います」(若原)
日本が世界の舞台に立つ、そして勝つ。そのためにはGKの成長が不可欠だ。U-20ワールドカップ出場権獲得を目指しながら、谷、大迫、若原のGKチームは、互いをリスペクトし合いながら団結力を日に日に深めている。でも、ただの仲良しではない。谷にポジションを奪われる形となった2人とて悔しくないはずがない。だからこそ成り立つ最高のライバル関係が、未来の日本代表を強くする。
(取材・文:舩木渉【インドネシア】)
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