7人はいたはずのインテルの守備陣が崩された
中盤でプレスをかけようとしたところを、ラフィーニャに一発で抜かれる。そして右サイドに開いていたルイス・スアレスに正確なミドルパスを通される。そしてサイドに流れていったはずのストライカーの足からは、正確無比なクロスが離れてくるのである。ゴール前に飛び込んだのは、ミドルパスを出したラフィーニャ。7人はいたはずのインテルの守備陣は、これで崩されてしまった。
後半にもリズムに変化はなし。インテルはカンドレーバに代わって投入されたマッテオ・ポリターノと、マティアス・ベシーノらの連係で右からチャンスを作ろうとするが、試合の流れを変えるには至らない。逆にジョルディ・アルバを捕まえ損ね、ゴール前への侵入を許した挙句に追加点を決められてしまった。
シャビやアンドレス・イニエスタの退団で、ポゼッションを重視した一時代が終焉したとも囁かれたバルセロナ。だがその流れを継承する若手が現れ、エルネスト・バルベルデ監督も戦術の整備に成功している印象をこの試合では受けた。ラフィーニャやアルトゥールは、プレスからパスワークへ連動するシステムに乗った上で個人技を発揮。中盤でのプレー強度が下がれば、ボール奪取に強く攻撃でも貢献できるアルトゥール・ビダルが投入されるという層の厚さも心憎いばかりだ。
そんな彼らに対し、インテルはホームの第4節でどんな反撃を試みるのだろうか。トッテナムがPSVにドローを喫し、3位との勝ち点は差5と余裕のある状態ではある。だがグループリーグ通過を考えれば、やはりバルサからせめて勝ち点1を取れたらベターなのは間違いない。「我われの目標は強豪に返り咲くことだ」と野心を口にするスパレッティ監督が、バルサの攻守の連動を断つアイディアをひねり出せるかどうかに注目したい。
(文:神尾光臣【イタリア】)
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