強さの秘訣は名脇役の存在
C・ロナウド、ディバラ、キエッリーニ、ボヌッチなどこの日のユベントスには主役が大勢いた。というよりも、ピッチに立つ11人全員が良い働きをみせたのは間違いない。その中で一人、“名脇役”とも呼べる選手の献身性を見逃すことはできなかった。
それが、ブレーズ・マテュイディである。
この日、同選手は左サイドハーフとして先発出場を果たしたが、その役割はただ攻撃参加するだけに留まらなかった。左サイドで攻撃を構築するのは、アレックス・サンドロやC・ロナウド、あるいはディバラである。マテュイディは、A・サンドロが空けた左のスペースを埋めるべく、比較的低い位置にポジショニングし、被カウンター時に備えた。反対サイドにボールがある場合は、ボランチの位置にポジションを移し、中央のスペースにカギをかける動きを完遂。また、チームが相手陣内深い位置まで押し込んだ場合は、自身も攻撃に参加し、前線に厚みを加えた。
このように、マテュイディは攻守両面においてチームには欠かせない存在となっている。データにもその献身性がしっかり表れているのだ。
パス成功率は92%、フル出場を果たした選手の中では2番目に良い数字となっている。守備に重心を置きながら、シュート数は2本、決定的なパスも1本出すなど、少ない攻撃参加でもしっかり結果を残せている。もちろん、守備面の貢献度も光っており、インターセプトの回数は2回で全体2番目に多い数字を記録。タックルは1回のみだったが、それを確実に成功させている。
ケディラが負傷中のユベントスにおいて、このマテュイディにかかる期待は大きい。決して目立つ動きはしないが、効果的な動きを見せているのは間違いなく、マッシミリアーノ・アッレグリ監督からの信頼も厚いだろう。
ユベントスの強さにはこの“名脇役”の存在があるのかもしれない。悲願のCL制覇へ、今後もマテュイディはピッチを走り回ることだろう。
(文:小澤祐作)
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