Aリーグは練習が軽い? 本田が克服すべき課題とは
ただ、カンボジアとの契約は2年で、ちょうど東京五輪の時期には満了を迎える。本人はJFAとの事情を勘案してそういう契約にしているのかもしれない。だとしたら、東京五輪出場への本気度がうかがえるところだ。
2年後の夢を現実にするためのもう1つのハードルは、Aリーグでトップフォームを維持できるかという点だ。メルボルン・ビクトリーのシーズン開幕直後の1週間を見ると、ダービー翌日の21日がオフ、22日は午前中に1時間の軽いフィジカル調整で、23日から27日が戦術的要素の強いトレーニング、28日が次戦、パース・グローリー戦という流れになっているという。
こうした動きを踏まえ、一部の現地関係者は「Aリーグは練習が軽すぎてパフォーマンスの低下が避けられない」と指摘する。かつて三浦知良がシドニーFCでプレーしていた2005年に、同クラブの指揮を執ったピエール・リトバルスキー監督がドイツ流の2部練習を毎週前半に取り入れたところ、オーストラリア人選手からAリーグにクレームが入ったという。
その時代と現地選手・監督の意識があまり変わっていないとしたら、本田は周りを引き上げない限り、自分自身の状態が下降線を辿ることになりかねない。こうしたネガティブなシナリオを回避し、周りの意識を改善し、より高みを目指せる環境に変えていくことも、彼に託された命題だ。
東京五輪出場への道は長く険しいが、絶大なカリスマ性と影響力を持つ彼がいるメリットは森保監督も分かっているはず。そこを評価させるべく、本田の地道な努力は続く。
(取材・文:元川悦子【メルボルン】)
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