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日本代表 6年前

別格の輝きを放つ安部裕葵。U-19日本の10番、“カシマイズム”の継承者として世界へ

text by 舩木渉 photo by Getty Images,AFC

攻守に光った貢献度の高さ

 周囲の状況を敏感に察知して瞬時にプレーの判断を変えられる選手というのは、そう多くない。安部はコンディションが万全とは言えない中でも、1つひとつの局面で勝つために自分がやるべきことを冷静に判断できていた。そして低くて速いボールを選択したクロスにも、彼なりの思考の積み重ねの成果が現れていた。

「何本かクロスを上げていて、うまくいかなくて、浮き球はやめたほうがいいかなと。相手も(ディフェンスの)枚数が多かったので、本当にどうしようかなと正直迷っていて。GKに当ててこぼれるというのが僕の中でチャンスになるイメージで、もともと多かった。それは意識しましたね。強いボールでGKがファーの方に弾くことを考えてやりました」

 実際、その狙い通りにタイのGKは安部のクロスを弾き、こぼれ球に宮代が詰めた。瞬時の判断とトライ&エラーの積み重ねが相手GKの処理ミスを引き出した。

 戦況に応じてプレーの質を変える判断も光った。縦に突破するドリブルだけでなく、味方の飛び出しを促すようなゆっくりと運ぶドリブル、ワンタッチやツータッチでのパス交換など、その時の状況に効果的なプレーを使い分ける。一度縦に突破しようとして厳しそうなら、すぐにキープに切り替えるプレーの緩急も、タイにとってはボディブローのように効いてきたはずだ。

 安部も「ずっと同じことをすると相手も力のある選手なので、慣れるので、やっぱり相手が慣れる前にいろいろなものを使って、90分間自分のことを捕まえられないように、自分が何をするかわからないようにというのは、意識してやって、それはできたと思います」と自らのプレーへの手応えを語る。

 さらに守備での貢献も見逃せない。前半から的確なポジショニングで相手のカウンターの芽を摘み、目の前の相手には体を張って食らいついた。時に逆サイドまで顔を出してチームメイトのカバーにも奔走しボールを奪う。まさに獅子奮迅の戦いぶりで周りを鼓舞する。

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