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チェルシーの完璧な「策」、それに屈しなかったマンU。90分間に詰められた濃密な内容

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

同点弾によりギアが上がったマンU

マンチェスター・ユナイテッド
後半に入りギアが上がったマンU【写真:Getty Images】

 結果論になってしまうが、M・アロンソがプレーを続けていれば防ぐことができた失点だったことは間違いない。同選手が邪魔となってしまい、D・ルイスもマルシャルへ寄せに行くことができなかったのだ。チェルシーにとっては流れが良い状態で喫した痛恨の1失点。そして、ホームチームはここから劣勢に立たされてしまう。

 同点に追いつき、ギアが上がったマンUは、素早いプレスでチェルシーのビルドアップを阻止し、ショートカウンターを仕掛けた。前半から突きたくても突けなかったチェルシーの左サイド(M・アロンソが前線に出ているため背後にスペースがある)を徐々に狙えるようになり、相手陣内へ侵入する時間を増やしたのだ。

 そして73分、その左サイドを突破したファン・マタが中央のマーカス・ラッシュフォードへパス。同選手はワンタッチ入れると、すぐに逆サイドのマルシャルへパスを送る。最後は背番号11が完璧なコースへ蹴り込み、マンUが逆転に成功した。

 このシーンで重要だったのはラッシュフォードのパスだ。マタからのパスをツータッチ目でマルシャルに送ることができたのは非常に大きかった。仮に、余計にタッチ数を増やしてしまっていたら、DFが戻り切り、シュートまで持ち込む形を作るのは難しかっただろう。ただ、素早くマルシャルにボールを供給したことで、同選手はセサル・アスピリクエタと1対1を作ることに成功。シュートコースを作るためにスペイン代表DFを剥がすのはマルシャルにとってそう難しくはない。ラッシュフォードのパスがあった時点で、必然の逆転ゴールだった。

 ついに逆転したマンUはアンデル・エレーラやアンドレアス・ペレイラを投入し、中盤の動きにアクセントを加えた。その交代は攻守において効果を発揮し、ホームチームをより、苦しめた。

 しかし、チェルシーの今季初黒星が刻一刻と近づいていた中、ドラマは待っていた。

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