この日のアザールは囮?
お互いに勝利を逃したことを悔やんでいるはずだ。プレミアリーグ第9節、チェルシー対マンチェスター・ユナイテッドの一戦は2-2のドローに終わった。ただ、試合内容は素晴らしく、スタンフォード・ブリッジに訪れたサポーターを退屈にはさせなかったはずである。
前半は、マウリツィオ・サッリ監督が用意した「策」が完璧にハマったチェルシーが支配する。リーグ戦8試合で7得点をマークするなど好調を維持しているエデン・アザールを中心に左サイドからゲームを組み立てていくホームチーム。ただ、マンUがこの背番号10に対しまったく対策を施さないことなどあり得るはずもない。この日、右サイドバックで先発したアシュリー・ヤングが徹底的にマークし、アザールの自由を奪った。
しかし、チェルシーはそれを逆手に取った。アザールが下がってボールを受けようとすると、当然A・ヤングも付いてくる。その背後のスペースを、マテオ・コバチッチやマルコス・アロンソといった選手が有効活用し、チャンスを作り出したのだ。簡単に言えば、この日のアザールは「囮」のような役割。もちろん、中央にポジションを移したり、ドリブル突破を狙ったりと目立つ場面はあったが、左サイドの攻撃で主役となるのはアザールより後ろのコバチッチやM・アロンソであったことは間違いない。
実際、フィニッシュまで持ち込む場面は少なかったが、マンUの右サイドを攻略するその“形”は十分に作れていた。
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