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チェルシーの完璧な「策」、それに屈しなかったマンU。90分間に詰められた濃密な内容

現地時間20日に行われたプレミアリーグ第9節、チェルシー対マンチェスター・ユナイテッドの一戦は2-2のドローに終わっている。試合は荒れ模様のまま、終了のホイッスルを迎えることになったが、両者が繰り広げた90分間の中には、“濃い”内容があった。(文:小澤祐作)

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

この日のアザールは囮?

エデン・アザール
アザールはA・ヤングを引き付ける囮役で攻撃を活性化させた【写真:Getty Images】

 お互いに勝利を逃したことを悔やんでいるはずだ。プレミアリーグ第9節、チェルシー対マンチェスター・ユナイテッドの一戦は2-2のドローに終わった。ただ、試合内容は素晴らしく、スタンフォード・ブリッジに訪れたサポーターを退屈にはさせなかったはずである。

 前半は、マウリツィオ・サッリ監督が用意した「策」が完璧にハマったチェルシーが支配する。リーグ戦8試合で7得点をマークするなど好調を維持しているエデン・アザールを中心に左サイドからゲームを組み立てていくホームチーム。ただ、マンUがこの背番号10に対しまったく対策を施さないことなどあり得るはずもない。この日、右サイドバックで先発したアシュリー・ヤングが徹底的にマークし、アザールの自由を奪った。

 しかし、チェルシーはそれを逆手に取った。アザールが下がってボールを受けようとすると、当然A・ヤングも付いてくる。その背後のスペースを、マテオ・コバチッチやマルコス・アロンソといった選手が有効活用し、チャンスを作り出したのだ。簡単に言えば、この日のアザールは「囮」のような役割。もちろん、中央にポジションを移したり、ドリブル突破を狙ったりと目立つ場面はあったが、左サイドの攻撃で主役となるのはアザールより後ろのコバチッチやM・アロンソであったことは間違いない。

 実際、フィニッシュまで持ち込む場面は少なかったが、マンUの右サイドを攻略するその“形”は十分に作れていた。

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