「初戦からいきなりアジアの戦いができた」(菅原)
この3点目が決まった後、すでに北朝鮮に攻めるだけの力は残されていなかった。81分にはシン・クァンソクが、ピッチに倒れた郷家友太の胸を踏みつけて一発退場。10人になったことで5バックから4バックにシフトしたが、こうなれば守る力もない。
89分に宮代大聖、後半アディショナルタイムの93分に安部裕葵と、ともに途中出場のフレッシュなアタッカーが追加点を奪ってトドメを刺した。終わってみれば5-2の大勝。苦しみもあったが、グループリーグ初戦で重要な勝ち点3をもぎ取った。
菅原は「初戦からいきなりアジアの戦いができたというか、2点取ってからちょっとの隙で2点を取られるという難しい戦いは初戦からわかったので、それはプラスに捉えたいと思いますし、まず初戦勝つことが何よりも大事だったので、それは本当に嬉しい」と勝利を喜んだ。
まさに「アジアの戦い」を制して、また1つチームの結束力が高まり、成長していく。指揮官も「楽に勝ち上がっていくよりは、こういう自分たちで成長するための糧となるものがあった方が強くはなっていくんでしょうけど、あんまり苦労したくはないですよね(笑)」と苦笑いを浮かべながら、「自分たちで笑いながら色々な反省を語っている、ロッカーに戻ってきた時に自分たちでそういうことができるのが、この選手たちの強み」と団結力の強さを感じている。
今回のU-19日本代表にはJリーグで継続的に出場機会を得ている選手が多く、久保ですら「強烈な個が揃っているチーム」と見ている。その「強烈な個」がチームとしてより一丸となって戦えれば、発揮される力の大きさは計り知れない。
相手のシステム変更にも柔軟に対応し、終盤に三國ケネディエブスを入れての3バックという形も破綻なくこなすことができた。だからこそ、北朝鮮戦で出たような不用意なミスからの失点をなくしていく必要がある。次のタイ戦以降の戦いで意識すべきこと、それは菅原の言葉に集約されていた。
「誰が出ようと共通理解はあると思うので、もしピッチ上で問題が起きたとしても、それは選手同士で話し合えばいいこと。それを1つひとつ解決できる力が僕たちにはあると思うので、試合になってみないとわからないことはありますけど、どんなことにも対応していけるように考えていきたいです」
何が起こるかわらかないアジア。U-20ワールドカップ出場権を獲得するまで、険しい道のりはまだ始まったばかりだ。
(取材・文:舩木渉)
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