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ドイツはなぜ勝てないのか? ポゼッションを捨てた元王者、復調の鍵は「未来のモデル」の発展か

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ポゼッション型からカウンター型へ

 そもそもイルカイ・ギュンドガンを負傷により招集することができず、同様にマルコ・ロイス、カイ・ハヴェルツ、レオン・ゴレツカが今回の代表参加を辞退しており、台所事情が苦しかったところはある。しかし、初招集のマルク・ウートのワントップ起用も不発に終わり、ドイツ代表のポゼッション・スタイルは、明らかに行き詰まっていた。30分にセットプレーからファン・ダイクに先制を許すと、リトリートするオランダ代表を崩せず、終盤にはカウンターからメンフィス・デパイとワイナルドゥムに追加点を決められてしまう。

 レーブ監督は、次のように“世界王者”を警戒した。

「オランダ戦で我々は最後の局面で非常にカウンターに弱かった。こうした点においてフランス代表はとても強力だ。明日、我々は勇気を持ってダイナミックに前に向かってプレーするつもりだ」

 そして迎えた「本当の試合」——。
 
 対フランス代表戦で、フタを開けてみれば、レーブ監督は[5-2-3]の布陣を採用。3バックに左からマッツ・フンメルス、ニクラス・ジューレ、マティアス・ギンターを、ウイングバックは左にニコ・シュルツ、右にティモ・ケーラーを配置した。

 中盤はクロースとキミッヒの2枚に省略。そしてティモ・ヴェルナー、セルジュ・ニャブリ、レロイ・サネの3トップだ。スピード系のドリブラーを前線にズラリと並べた。“世界王者”を前にしたドイツ代表は、5バック気味に比重を後ろにおいて、ボールを奪えば「勇気を持ってダイナミックに前に向かってプレー」した。

 このように、後のない指揮官が選んだのは、ポゼッション型ではなくカウンター型だった。現在パリ・サンジェルマンを率いるトーマス・トゥヘルが、ボルシア・ドルトムントを率いていた時代に辿り着いた最終形に極めて似ている。

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