センターバックの新たな競争が歴史を変える?
また、10月の日本代表の2連戦では新たなセンターバックの台頭も象徴的でした。12日のパナマ戦(3-0で勝利)に出場した冨安(健洋)選手は、A代表デビュー、さらに19歳ということも考えると、素晴らしく落ち着いたプレーを見せていました。
彼は普段からベルギーでプレーしていますし、Jリーグでも若くして試合に出続けてヨーロッパに旅立ったわけですから、2列目の中島(翔哉)選手や南野(拓実)選手、堂安(律)選手と同じように視座を高く持っています。
日本代表デビューは大きな転機ですが、それをステップアップするうえでの通過点としか捉えていないかのような感覚でピッチに立っている印象を受けました。歴史が変わってきたな、と感じますね。
冨安選手はまだ若いので、これから世界のハイレベルな選手たちと対峙していくでしょう。今はベルギーで様々な対応の仕方を肌で感じ始めていて、その経験を3年、4年と積んでもまだ22歳か23歳というのは、やはり大きなメリットですよね。
吉田(麻也)選手も若くしてヨーロッパへ渡って、そこに慣れていく時間があり、いまは世界の一線級とやることが当たり前になっています。冨安選手はその吉田の戦いぶりを見て学び、育ってきました。これからも自分の視座を高いところに置いて、彼なりのサッカーキャリアを歩んでいくはずです。
センターバックはこれまで槙野(智章)選手や森重(真人)選手といった同じメンバーでずっと頑張っていて、その下の世代がなかなか出てこないまま、彼らは30代に突入してしまいました。ようやく最近になって昌子(源)選手などが出てきて、その下の世代にも植田(直通)選手や三浦(弦太)選手などがいます。
さらに若い冨安選手も台頭してきて、やっとセンターバックのポジション争いが活性化されてきました。彼のような存在が出てくると、「今に見てろよ」と燃えるJリーグでプレーしている同年代のセンターバックがいると思いますから、それによって日本サッカーのセンターバックのレベルも引き上げられていくのではないでしょうか。
より高いスタンダードをもとにサッカーが作られていけば、「新しい時代に入ったんだな」ということを強烈に感じます。