クラブで試合に出て、活躍しないと代表のピッチには立てない
右のタテ関係を形成した酒井宏樹の方も「律は走れる選手なんでそこを意識して使った」というように、後ろから推進力を引き出すような工夫をしたのも大きかった。新世代サイドアタッカーの2人が輝きを放てたのも、ロシア組のベテラン両サイドバックがしっかりとバランスを取っていたから。森保監督の求める「融合」と「化学変化」の成果がサイドアタックの部分でもよく出ていたのは確かだ。
こうして見る者に衝撃を与え、FIFAランク5位のウルグアイを4-3で粉砕する原動力になった中島、南野、堂安だが、プレスのかけ方やポジショニングなど守りの面ではまだやらなければいけないことも多い。吉田も「守備のところで改善しなければいけないところは沢山ある」と指摘していて、ハードワークやオフ・ザ・ボールの部分はロシアで輝いた原口や乾貴士らに優位性がある。
森保監督が11月のベネズエラ・キルギス2連戦で乾と香川を招集して、中島や南野とダイレクトに競わせるかどうかは興味深いところだが、そういう機会があってもいい。原口が言うように本物の競争を経て、若きアタッカートリオが定位置をつかみ取ることができれば、その時こそ、日本代表は新たな段階に突入したと言い切れる状況になる。
ロシア以降、A代表から離れている岡崎慎司が22年ぶりのウルグアイ戦勝利を受けて「前から言われてきたけど、いよいよ親善試合をアウェーでやってかなきゃいけない段階にきてると思う」とSNSで発信したが、敵地で劣勢に立たされながらも今回のような攻めの迫力と推進力を出せるかどうかは未知数な部分もあるのだ。
それを確かめる意味でも、来年1月に迫ったアジアカップは重要な試金石になる。そこまで3人揃って調子を上げ、新生ジャパンの真の攻撃陣の看板になれるように、クラブで結果を出し続ける必要がある。
この10月シリーズを経て、よりハッキリしたのは「クラブで試合に出て、活躍しないと代表のピッチには立てない」ということ。選手層の薄い守備陣はそのルールが完全に適用されたわけではないが、人材豊富な2列目はまさにそうなったといえる。
(取材・文:元川悦子)
【了】