ゴールをもたらした「即時奪回」の意識
右サイドMFの堂安律と、トップ下の南野拓実が、それぞれ目の前のマークを振り切るようにゴール方向へ斜めに走り出した。これを見逃さなかった中島は、速くて強いパスを南野に通す。パスをもらった背番号9は右かかとで背中側にボールをコントロールして素早くターンすると、右に運んで有利な体勢を作り、シュートを流し込んだ。
この時、堂安が左サイドバックのディエゴ・ラクサールを引き連れて逆サイドへ走り抜けたため、日本から見た右サイドはガラ空き。ウルグアイの右サイドバックだったマルティン・カセレスはタッチライン際の長友佑都とパスを受けようと落ちてきた大迫勇也をケアしていたため距離が遠く、2人のセンターバックも南野の一瞬のターンで置き去りにされた。
36分に生まれた2つ目の得点シーンは、この試合における攻撃陣の意識の高さを象徴していた。
逆サイドからの展開で、右アウトサイドでボールを受けた堂安が、マーカーだった左サイドバックのラクサールを引きずりながらカットインしていく。ここで他の前線の選手に動きはなく、堂安は中央で2人目のマークを引きつけて、両センターバック間に立った大迫へラストパスを狙った。
ただ、これはカットされてしまう。しかし、ここで堂安は素早く切り替えてラクサールに激しく寄せてボールをすぐに奪い返す。そのまま、一歩下がって相手DFから距離をとったペナルティエリア左手前の中島に渡し、その背番号10が守備の隙間を狙って迷いなく右足を振る。そして、シュートをGKフェルナンド・ムスレラが弾いたところに、誰よりも早く反応して詰めたのが、スコアラーとなる大迫だった。
ボールを失えば即時奪回を試み、しっかりとシュートで攻撃を完結させる。12日のパナマ戦で出た、ボールの失いどころが悪くて守備がハマらず後手に回ってしまう課題を、攻撃的な姿勢を失わずに解決して見せた。ミスをすれば自分で責任を持って取り返す、さらにチーム全体でカバーする、中途半端な攻撃で終わらず攻守にメリハリをつけるといった意識が、選手たちの姿勢から試合を通して感じられた。