06年に始動したタバレスの育成改革
ウルグアイ代表といえば、サッカー界では強豪国というイメージが強い。だが、ウルグアイそのものの人口は約330万人しかいない。
これは日本でいえば人口約370万人の横浜市よりわずかに少ないくらい。南米サッカー連盟に加盟する10ヶ国の中では最も少ない。ブラジルやアルゼンチンに比べて経済的にも豊かとはいえず、いわゆる小国の部類に入る。
だが、サッカーは強い。近年でいえばルイス・スアレスやエディンソン・カバーニ、2010年の南アフリカワールドカップでベスト4に輝いたチームの顔だったディエゴ・フォルランなど、ワールドクラスのタレントが続々と輩出される。
彼らを育て上げ、世界に送り出した立役者が、まさに現在のA代表を率いる指揮官。16日の日本代表戦に向けて来日している御年71歳のオスカル・タバレス監督である。1988年から1990年にかけて一度ウルグアイ代表監督を務めたことがあり、2006年に2度目の監督就任を果たすと、今まで12年間一貫して母国代表を指導し続けてきた。
同時にタバレス監督主導で進めてきたのが、国内の育成改革である。2006年のA代表監督復帰と同時に有望な選手をU-15世代から一貫したメソッドのもとで育成し、若いタレントを次々に送り出す仕組みを作り上げた。
15日の記者会見で「ウルグアイがサッカー界で存在感を発揮できるのはなぜでしょうか」と問うたところ、タバレス監督は次のように答えてくれた。
「2006年にユース世代の育成に重点を置いたプロジェクトが始動した。それは単にサッカー選手を育てることを目的としているのではなく、若者たちに総合的な教育を授けることを重要視したものだ。昔はウルグアイのサッカーのイメージというと、非常にタフなサッカーといった特徴を挙げられたが、それだけでなく私たちはクリーンな戦い方も若い選手たちに教えてきた。こうしたプロジェクトを始動したことで、2006年以降、ウルグアイはほぼ90%の確率でユース世代の国際大会に出場できるようになった」