「香川とは違ったセカンドトップ」として定着するために
3歳の時に98年フランス大会を見て以来、全てのワールドカップの名選手や名場面を脳裏に刻み付けてきた23歳の若武者にとって、香川はずっと憧れであり、目標であったはず。その存在に手が届きそうなところまで来た今だからこそ、香川がロシアで担った役割を頭に入れつつ、オリジナリティを出していくことが肝要だ。
それが3試合連続ゴールという結果につながれば、まさに理想的なシナリオ。香川から代表の定位置を奪って「セカンドトップの第一人者」と認められるべく、ウルグアイという大きな関門を突破しなければならない。
逆に経験不足なところを露呈するようなことがあれば、森保監督は11月のベネズエラ、キルギスとの2連戦で香川の再招集に踏み切るかもしれない。
ハビエル・アギーレ監督が指揮していたちょうど4年前も、若くフレッシュなメンバーで挑んだブラジル戦でネイマールに赤子の手をひねるようにやられ、0-4で惨敗したのをきっかけに、遠藤保仁と今野泰幸を呼び戻して2015年アジアカップを戦うことになった。
それが世代交代の遅れにつながったのは紛れもない事実だ。その二の舞を繰り返したら、日本代表のためにはならない。
もちろん香川が所属クラブで輝きを放っていたら正当にチャンスを与えるべきだが、今のところはその条件を満たす活躍はできていない。逆にザルツブルクで確実に実績を積み重ねている南野は自信を持ってウルグアイに挑んでいい。失敗を恐れず、走って泥臭くボールを追って、ゴールを狙いに行く貪欲さを示してくれれば、必ず彼は森保監督や周囲に評価されるに違いない。
「香川とは違ったセカンドトップ」を構築すべく、新世代屈指のイケメンプレーヤーがウルグアイ相手に躍動する姿を、多くのサポーターが心待ちにしている。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督に干され、西野朗監督にも招集見送りにされてきた不屈の魂を持つ男の真の逆襲がここから始まる…。
(取材・文:元川悦子)
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