全てが紙一重。資質が問われる一戦に
中盤の底に構えるルーカス・トレイラは相手の高い位置からのプレッシャーをいなすボールさばきに優れ、その直後には必ずと言っていいほど効果的なパスが繰り出される。そこからマティアス・ベシーノやナイタン・ナンデスという機動力のあるインサイドハーフの選手を経由するケースもあれば、一発でカバーニやマキシ・ゴメスに通してくるケースもある。彼らの手前でチャンスの起点を作る21歳の長身MFロドリゴ・ベンタンクールに前を向かれても非常に厄介だ。
日本がボールを失った瞬間から素早く切り替えてファーストディフェンスにいくことは大事だが、そこで慌てて簡単に逆を取られないようにカウンターの芽を摘みたい。そのためには堂安律や南野拓実、中島翔哉といった攻撃的な選手の切り替え時の守備も重要になってくる。
また、「決めさせない」というのは最終手段として生命線になるが、より細分化するなら「破られない」→「打たせない」→「外させる」という優先順位がある。ボールを奪われ、さらに危険なパスが出されるシチュエーションが生じれば、もうボールの受け手を止めにいくしかない。そこで守備陣がしっかりと連動して破られないようにするか。いい状態でシュートを打たせず、仮に打たれたとしてもコースを限定する必要がある。
もっとも相手のFWはカバーニしかり、マキシ・ゴメスしかり、ストゥアーニしかり、非常に決定力が高く、ちょっとした時間とスペースからでも危険なシュートで決め切る力がある。また彼らをマークしても、2列目からベシーノが危険なところに飛び出してくる。
時にファウルで止めるしかない場面もあるかもしれないが、できるだけ粘り強く縦のコースを切るようにしながら、いざという時の勇気を持って取捨選択すること。そのあたりは新たなキャプテンに指名された吉田麻也を中心にコミュニケーションを取りながら対応することも大事だが、最後は1人ひとりの決断力が問われるシーンも出てくるだろう。
親善試合でチャレンジも重要だが、ウルグアイとの試合では1つひとつのプレーにシビアな判断が求められ、それら全てが紙一重のところで失点につながるリスクと隣り合わせになる。そこは組織としても個人としても資質が問われる部分でもあり、覚悟して挑んでいくしかない。
(取材・文:河治良幸)
【了】