ボールを奪い、縦を狙い、相手の守備を外す
そこでパラシオスは20メートルほど前方のホセ・ルイス・ロドリゲスに縦パスを出すが、やや後ろで見張っていた青山がその瞬間ロドリゲスを追い越し、意表を突かれたロドリゲスがバランスを崩したのを尻目にインターセプトした。この局面においては、一度相手のカウンターチャンスを摘んだところから、しっかりと組織的に守備を整えてパナマの攻撃を限定し、ボール奪取の流れを作れていたことがわかる。
青山がボールを奪った瞬間はパナマの陣形が縦に間延びしており、相手ボランチ2人もフラットに並ぶような形で青山から見て縦のパスコースを切れていなかった。そこで青山は間髪入れず、南野へ縦にグラウンダーのパスを出したのだが、その状況を生み出したのがパナマの守備状況と日本のアタッカー陣のポジショニングだ。
パナマのディフェンスラインは攻撃の直後で開いており、左サイドバックのエリック・ダビスが中盤の高さまで上がっていたため、右サイドバックのパラシオスを含め、4バックのうちの3人が残る状況だった。そこで原口がパラシオスとオフ・ザ・ボールでマッチアップする状態になっており、伊東がダビスが上がって生じていた背後のスペースを突く動きをしたことで、左センターバックのフィデル・エスコバルに外側のスペースを意識させた。
大迫が守備のために手前に引いていた流れで、入れ替わるように前に出ていた南野はディフェンスラインに残る3人のうち、パラシオスが原口側、エスコバルが伊東側に引っ張られた状況で、もう1人のセンターバックであるハロルド・クミングスとエスコバルの間にポジションを取って、青山のパスを引き出した。
当然そこにクミングスが寄せてくるが、南野は時計と逆回りにターンすることでクミングスからボールをスクリーンして抜け出し、そこからのチェックにも粘り強くキープして左に持ち出し、カバーに入るエスコバルが寄せきる前に左足を振り抜いて、ゴール左隅にシュートを決めた。