大迫勇也がもたらす化学反応
むしろ、その大迫に合うか合わないかで2列目のアタッカー陣の絞り込みがなされるという見方すらある。ロシアでともに戦った原口元気やヴァイッド・ハリルホジッチ監督時代に同じピッチに立った中島はまだいいが、堂安や伊東、南野拓実、北川らは全くと言っていいほど一緒にプレーした経験がない。
そこで大迫がそれぞれの良さを引き出すような気配りと大胆さを示せれば、日本の攻撃に新たな色が生まれる。「(若い選手たちは)みんないいものを持っている。同じプロのサッカー選手だし、日本人だから、すごくやりやすさはあるんじゃないですか」と大迫本人は楽観的だ。
例えば、堂安とであれば、高度な技術と創造性を引き出せるだろうし、伊東とのコンビなら彼の矢のようなスピードを利用して自分がフリーになることもできるだろう。南野や北川と縦関係の2トップというのもの興味深い。若い才能を生かすか殺すかは大迫勇也の一挙手一投足にかかっているのだ。
本人も年下のメンバーに自分からアクションを起こして、チームを引っ張ろうとしている。本田圭佑らがいた頃は口数の少なかった大迫が「大人しい選手が多いので、そこまで会話は多くないです」というコメントを残しているのも、新戦力に世界基準を伝え、ワールドカップベスト8の壁を破るための機運を高めようという姿勢の表れだ。
そうやって内面的な変化を見せているのも森保監督には心強い点。これまでの大迫勇也とは一味違った仕事ぶりが今回は見られるはずだ。
大迫がけん引する攻撃陣がどのようなバリエーションをもたらすのか。そこはパナマ戦で第一にチェックすべき点と言っても過言ではない。4年ぶりとなる新潟での国際Aマッチで「半端ない点取屋」の底力を改めて日本中の人々に示し、日本代表の存在価値を今一度、高めてもらいたい。
(取材・文:元川悦子)
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