「大迫半端ないって」の再現を
振り返ってみれば、ロシアワールドカップアジア最終予選中盤以降、大迫の存在価値は常に圧倒的だった。2~3人の敵に囲まれても落ち着いてボールをキープできる卓越した技術に加え、ロシアワールドカップ本大会では初戦のコロンビア戦で1ゴール1アシストと爆発。勝利を引き寄せる明確な結果を出せるセンターFWに君臨した。
「大迫半端ないって」が流行語になり、今月のシカゴマラソンで日本人初の2時間5分台を出した同じ苗字の大迫傑に「大迫選手から刺激を受けた」と言わしめたところが、この男のインパクトの大きさを物語っている。
その後、同じ大舞台に参戦した岡崎慎司と武藤嘉紀の両FWが所属クラブで出番を思うように増やせず苦しむ中、大迫は新天地ブレーメンでフロリアン・コーフェルト監督から瞬く間に信頼を勝ち取り、開幕から7試合中6試合で先発。ここまで1ゴールを奪う働きを見せている。
「僕も周りに合わせようとしているし、みんなも合わせようとしてくれてるし、(新たな)チームがすごく温かく迎え入れてくれたのが有難かった。ただ正直言えば、僕も(ワールドカップ後の)2週間はすごく苦労しました。ワールドカップの後には何か目に見えないものがあると感じた。そこからうまく切り替えて、乗り越えることができたので、あとはもっともっと目に見える結果を出していくだけですね」とエースストライカーは、フレッシュな状態を取り戻して森保ジャパンに合流している。
今回のFW陣は追加招集の川又堅碁と北川航也という実績不足の2人が名を連ねているだけに、大迫に託されるものは非常に大きい。彼がロシアワールドカップの時のように最前線にしっかりと陣取り、圧巻のパフォーマンスを示すことで、攻撃陣が活性化されるのは間違いない。
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