権田が感じる「1」の重み
では、日本人GKが世界レベルに近づいていくために、今すぐできることはないのだろうか。もちろん長期的な目線で強化プランを策定していくことも重要だが、選手個々の努力で少しずつでも上のレベルに近づいていくことができるはずだ。権田は「『1』を『0』にする」ための細部へのこだわり、勝利への執着心が重要だと考えている。
「毎試合失点1で抑えていても、その『1』を『0』にしないと、世界じゃ勝てなくなるとなってくるので、そこは僕自身はまだまだやっぱりやらなきゃいけないなと思う。海外でやっている選手は助っ人として、日本でやっている選手もJリーグでチームを助けている選手がここにいる。
僕はやっぱり、そこそこ助けているかもしれないですけど、助けきれていないからサガン鳥栖があの順位(J1の17位)にいるわけであって、僕自身は欲が強い選手なので、もっと貪欲に順位を上げられるような選手にならないといけないなと思うし、1点だけに抑えられるじゃなくて、毎試合全部抑えられるようなGKを目指さなきゃいけない」
日本代表として最後にピッチに立った2015年3月のチュニジア戦から、約2年7ヶ月経った。権田はその間にオーバートレーニング症候群による長期離脱を乗り越え、海外移籍も経験したが、ロシアワールドカップ出場は叶わなかった。だが、仲間たちの戦いぶりを見て、改めて「1」の重みを感じているようだった。
「世界と対戦していく中で、やっぱりたくさん点が獲れる試合ってなかなかないじゃないですか。(ロシアワールドカップの)ベルギー戦みたいに3-2というのはたまにはありますけど、でも基本的には1点勝負とか、その1個を守るか、取り切れるかという勝負になった中で、やっぱりGKがそこの『1』を守れるかどうかで決まってくるところがあると思う。
だから僕が今プレーしているサガン鳥栖では、毎試合多少は止めていますけど、全部止められていないから負けているわけで。日本を背負うという意味では、『いやぁ、何本止めたんだけど1本決められちゃった。負けちゃいました。でも頑張ったよね』じゃなくて、より結果を求められるのが日本代表なので、そこの部分はもっと、もう一歩、二歩いけるようにしないと、日本人のGKが日本代表で世界と戦う時にチームに貢献することはできないと思う。そこはもっと求めていかなきゃいけない」