魅力的だが危うさもあるトリオ
左の中島は3人の中でもキャラクターはロシアW杯の乾に最も近いが、ボールを持った時にシンプルなパスよりドリブルで仕掛けていく度合いはより強く、攻撃でゴール前に入っていこうとするタイミングも早い。時間帯や状況に応じたプレーの使い分けをするよりは、積極的にチャレンジしていく中で即興的にドリブル、パス、オフの動きを使い分けていく。
そうした3人のプレーは推進力が高く、プレーごとの意外性がありダイナミックだが、かみ合わせという意味ではラグも多い。早いタイミングでボールを失うリスクも隣り合わせだ。ロシアW杯のメンバーはハリルジャパンのベースがあり、そこに選手同士のコミュニケーションを重視する西野監督がディテールをテコ入れして作り上げたチームであり、2列目の3人にしても役割分担が整理されていた。
“ミラクル3”とも言える3人のトリオは非常に魅力的だが危うさもある。今回はFWにロシアW杯の主力だった大迫勇也が入ることもあり、3人の引き出し方もコスタリカ戦の小林とは違ってくるかもしれない。
また伊東、さらにはロシアと違う左サイドでの起用も想定される原口がどう関わってくるのか。ボランチに柴崎岳が入った場合は彼らを生かす組み立てがどう変わるのかといったところは興味深い。
もちろん森保監督の従来の代名詞である3-4-2-1が採用されれば“2シャドー”に3人のうちの2人が起用される形が考えられるだけに、さらなる競争が発生するはずだ。地震の影響でチリ戦がなくなり、手探りの中である種、観るものを驚かせたコスタリカ戦から3人がどう進歩するのか、新たな課題が出てくるのか。目が話せない2試合になりそうだ。
(文:河治良幸)
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